元皇女なのはヒミツです!
「本当に参加したのね、平民さん。のこのことやってくるなんて、なんて厚かましいのかしら」
背後からグレースの声が聞こえて振り返る。そして私は当て付けのようにカーテシーをしてやった。
「「「…………」」」
彼女たちは目を見張ってしばらく黙り込み、そのあと値踏みするように私のドレスをじろじろと眺めた。
「あら? おかしいかしら? 是非、お貴族様から惨めな平民にドレスのアドバイスを聞きたいわ」と、私はしれっと言った。
「なっ……」
グレースはみるみる顔を上気させて、
「なんなのよ! 平民のくせに! ――そ、そうだわ! ドレスは立派でも肝心のダンスはどうかしらねぇ~?」
まじまじと私を見つめていたジェシカとデイジーもニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべた。
「嫌だグレースったら~。平民にダンスなんて踊れるわけないじゃない」
「そこの平民上がりも。くすっ」
「どうかしらね」と、私は彼女たちを横目にその場を去った。