元皇女なのはヒミツです!
パーティーの開始は生徒会長であるフレデリック様の挨拶からだった。
私は今度は泣かないようにぎゅっと歯を食いしばって全身に力を込めた。当たり前だけど今日も彼が遠くて、これからパーティーが始まるのにちょっとだけ悲しい気分になった。
挨拶が終わったら次は生徒会長と副会長によるファーストダンスだ。
フレデリック様と上品で綺麗な令嬢が手を取り合ってホールの中央に優雅に向かう。
ズキリと、胸が痛んだ。
彼が他の令嬢と踊る場面なんて見たくなかった。でも、瞳は彼に釘付けになってしまう。その矛盾に胸が苦しかった。
「まぁ! フローレンス様よ! 今日もとってもお綺麗ねぇ」と、近くの令嬢たちがヒソヒソと小声で話し始めた。
「美人で成績優秀で優しくて……わたしも侯爵令嬢みたいになりたいわぁ!」
「殿下の婚約者候補なんでしょう? ほら、皇女様がお亡くなりになったから……」