元皇女なのはヒミツです!
「こっ……これは……その…………」
私は口ごもった。フレデリック様の主催のパーティーでトラブルが起きたなんて彼に恥をかかせることになるわ。余計なことは言えない。
フレデリック様は苦笑いをして、
「気を遣わなくても大丈夫だよ。さぁ、控室へ行こうか。汚れは浄化魔法で落ちるから」
私の手を取った。
途端に周囲の令嬢たちから悲鳴が上がる。
みるみる顔が熱くなって、手が震えた。バクバクと心臓の音が身体中に響いて、喉がカラカラになった。
「あっ、あの……!」
「大丈夫だよ。すぐに終わるから」
「でも……!」
私は抵抗できずに彼に手を引かれるまま付いて行く。野次馬の人だかりがどんどん端へ避けて、まるで私たちのためにアーチを作ってくれたような錯覚をした。全く祝福されていないけどね。