元皇女なのはヒミツです!




「リナはなんでそんなに平気でいられるんだ?」

 校舎からの帰り道、出し抜けにセルゲイから尋ねられた。

「オリヴィアから聞いている。俺がいないところで酷いことをされているんだって?」

「あぁ~、そういえばそうね」

「大丈夫なのか?」と、彼は心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「ありがとう。私は平気よ」

「俺の家から正式に抗議をしようか?」

「公爵令息がわざわざ平民なんかのために?」

「それは……。だが、このままだと益々酷くなる一方だぞ」

「大丈夫よ。本当に気にしていないの」

 これは本心だ。私にとって彼女たちの攻撃はちょっと虫に刺されたようなものなのだ。鬱陶しいけど、辛くはない。

「なんか……変わったな」

「そう?」

「あぁ、逞しくなった。ほら、皇女時代はもっと淑やかだったろう?」

「あんなの、よそ行きの顔よ」

「だろうなぁ。俺も騙されてたよ」

「ふふっ。ま、身分が皇女から平民に急降下したのだから逞しくならないとやってられないわ」

「それはそうだが……」

 私はちょっと黙り込んでから、

「ねぇ、セルゲイ。革命はどうだった? 公爵家も皇家に次ぐ身分だから大変だったでしょう?」
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