元皇女なのはヒミツです!
私は軽く深呼吸をしてから、集中して残り少ない魔力を両手に集約させた。自分の魔力はもう枯渇しつつある。おそらくこの一撃が最後になるだろう。
だからこそ、絶対に成功させてみせる。
準備が整い、フレデリック様と目が合った。彼は目配せをして頷き、そっと私の半歩後ろに下がる。
信頼されている。そう思うと力が湧いてきた。
私は大地を踏みしめるように一歩前へと足を出した。
そして、
「凍てつくマナの全ての眷属よ、我の前に顕現せよっ!」
ごうごうと深い底から轟く地鳴りのようなけたたましい音を立てて、闘技場の地面から2メートルくらいの鋭利な氷の柱が物凄い勢いで宙を貫く。多くの魔獣が刹那のうちに突き刺さった。
だが、まだ魔獣は残っていた。それらは私への攻撃を諦めない。憎悪は加速する。
「光のマナたちよ!」
そのとき、後ろにいたフレデリック様が私の前へ立ち、まばゆい光を放った。
線のような一本の光が、私が放った氷の柱に瞬く間に反射して滑るように広がる。そして雷のような鋭い光が魔獣たちの肉体に炸裂した。
その光が会場全体に広がったところでドンと大きな音を立てて、視界が真っ白になった。
白い世界が晴れる頃には魔獣は一匹残らず消し飛んで、ちょうど魔法騎士団長が中央の魔法陣を破壊したところだった。