元皇女なのはヒミツです!
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「嫌ああぁぁぁぁぁああっ!!」
闇雲に走り回っていた三人は袋小路追い詰められた。後ろも前も下も上も、行き場がない。逃げようとあたふたしている間も炎の獅子はぐんぐん迫って来る。
――パァンッ!!
そのとき、突然弾ける音がして炎の獅子は跡形もなく消え、死の追いかけっこはあっさりと幕を閉じた。
グレースたちは脱力して、その場にへなへなと座り込む。
「た……助かったあぁ~~~……」
「死ぬかと思った……」
「もう、駄目……」
三人は疲労で身動きができなかった。ぜいぜいと肩で息をする。とっても長くて永遠のように感じる5分間だった。しばらく激しい呼吸の音だけが辺りの壁に反響した。
息が落ち着くとともにグレースの中にある憤怒の塊はむくむくと膨れ上がっていった。
こんなことになったのもあの生意気な平民のせいだ。あの帝国人の平民が全部悪いのだ。ダンスでも狩り大会でも王太子殿下に近付いて、エカチェリーナ様の婚約者にちょっかいを出す卑しい身分のあの女が。