たとえ君の記憶がなくなっても。
「俺小林さんのことが好きだ。付き合ってほしい」
目の前に立つ男子、ユイトくん(……だっけ? 確か同じクラスの)が真剣な表情で見つめてくる。
でも誰が告白してきても私は頷かない。
告白される度に、警告書の文面が脳裏をよぎる。
『誰かと付き合ってはならない』
誰かの悪戯かもしれないその言葉を、私の心は信じていた。
私の中の何かが今も誰かを待っている。
そんな気がするから私は告白に頷けなかった。