何の話だっけ?
「啓ちゃん、知ってる? 魚のオスはね、メスが産んだ卵を一生懸命守るんだよ」
反省しながらも、やけに可愛く見えた啓司の困った顔をもう一度見たくなった奈緒は、少しだけ皮肉って、つい最近テレビで知った魚の生態を自信満々で話した。
すると、啓司がにやにやしながら返す。
「確かに卵は一生懸命守るけど、鮎魚女って魚のオスは、複数のメスを縄張りに誘い込んで卵を産ませるって知ってた?」
「えっ、やだそうなの? 啓ちゃんひどーい!」
「はあ? 何言ってんだよ。鮎魚女の話だろ?」
「あ、そうだった」
今度は奈緒が舌を出し苦笑いする。
「俺は鮎魚女じゃないし、奈緒はカモノハシでもないから……」
「何で突然カモノハシが出てくるの?」
奈緒は訳が分からない、というように唇を尖らせ首を傾げた。
「カモノハシは、哺乳類だけど卵を産むんだよ」
「へえ、そうなんだ」
奈緒はカモノハシの顔を思い浮かべていた。
――確か、アヒルみたいなくちばしの……
反省しながらも、やけに可愛く見えた啓司の困った顔をもう一度見たくなった奈緒は、少しだけ皮肉って、つい最近テレビで知った魚の生態を自信満々で話した。
すると、啓司がにやにやしながら返す。
「確かに卵は一生懸命守るけど、鮎魚女って魚のオスは、複数のメスを縄張りに誘い込んで卵を産ませるって知ってた?」
「えっ、やだそうなの? 啓ちゃんひどーい!」
「はあ? 何言ってんだよ。鮎魚女の話だろ?」
「あ、そうだった」
今度は奈緒が舌を出し苦笑いする。
「俺は鮎魚女じゃないし、奈緒はカモノハシでもないから……」
「何で突然カモノハシが出てくるの?」
奈緒は訳が分からない、というように唇を尖らせ首を傾げた。
「カモノハシは、哺乳類だけど卵を産むんだよ」
「へえ、そうなんだ」
奈緒はカモノハシの顔を思い浮かべていた。
――確か、アヒルみたいなくちばしの……