出戻り王女の恋愛事情〜人質ライフは意外と楽しい

終章

「あ…ユリウス」
「ジゼル」

 ユリウスの手と唇が、ジゼルの肌を滑る。
 
「あなたの肌は、なんてしっとりと滑らかなのだ」
「あなたの肌も…素敵よ。張りがあって逞しくて…」
 
 ユリウスの首に手をかけると、ジゼルはその首筋から肩へと唇を這わせた。肩の筋肉が盛り上がり、彼の体がふるりと震えた。同時にジゼルの中にある彼のものが更に大きくなった。
 バレッシオ公国から出戻って来てから、彼女が使っていた王宮の奧にある部屋で、ジゼルはユリウスとの初夜を迎えていた。
 あの時は、この部屋で愛する人と過ごすとは思ってもいなかった。

「あ…」

 感じる場所に触れられたジゼルが、嬌声を上げる。
 
「肌を褒められたのは、あなたが初めてだ」

 火照った肌を重ね合わせ、熱い吐息を吹きかけながらユリウスが耳元で囁いた。
 低温の少し掠れたその声が、ジゼルを更に興奮させる。
 
「また絞まった」
「だ、だって、ユリウスが…」
「俺が、何かしたか?」
「……!!」

 舌先で耳の穴をざらりと舐められ、ジゼルは悶絶して唇をきゅっと引き結んだ。

「今のは俺が悪かった。そんな風に噛んだら唇が切れてしまう。力を緩めてくれ」

 ユリウスに親指でそっと唇をなぞられ、引き結んでいた口を僅かに開ける。

「だって、耳を…舐めるから…」

 潤んだ瞳で彼を見つめれば、ユリウスは目尻を下げて微笑んだ。

「あ…ん…」

 指がピンと勃った乳首をコリコリと摘まれ、中で良い所を擦られて、ジゼルは身悶えた。

「あなたの反応が可愛くて、つい色々試したくなるんだ」
「あなたがしてくれることは、全部気持ち良く感じてしまうのだもの、仕方がないわ」

 素直な感想を口にすると、これ以上大きくならないと思っていたユリウスのものが、また大きくなった。

「だめだ。もう…動くぞ」

 声を押し殺し、ユリウスが腰を引く。中でいっぱいになった彼のものが膣壁を擦り、ジゼルはまたもや喘いだ。
 ユリウスが繰り返す律動に、ジゼルは次第に昇りつめていく。
 突き上げられる度に奥を貫かれ、やがて大きな波が押し寄せてくる兆しが見えた時、ユリウスが荒々しく唇を重ねてきて、彼女の絶頂を呑み込んだ。
 熱いものが中に注がれるのを感じながら、ユリウスと舌を絡ませ深い唇を交わす。
 ビチャビチャと唾液が混ざり合う。
 深いところで繋がり合いながら、ユリウスは彼女を抱き起こした。

「あ、だめ、ああ」

 体勢が変わったことで、イッたばかりのジゼルは、更に深い部分にユリウスのものを感じ体を震わせた。
 
「綺麗だ。ジゼル。まるで光を纏った君は何て神々しいんだ」

 カーテンが開け放たれた窓から見える月が、ジゼル越しにユリウスの視界に映った。
 ジゼルの小麦色の髪が光を纏い、ユリウスとの情事に紅潮した彼女の顔を縁取っていた。
 
「あなたも綺麗よ」

 固く引き締まり筋肉の付いたユリウスの体はまるで無駄がない。
 彼とて、いくら強くても生身の人間だ。不死身ではない。それを物語るように、体にはいくつもの傷がある。それは彼が努力してきたことを物語る。
 
「綺麗、か。そんなことを言われたのは初めてだ。そのうち可愛いとか言い出しそうだな」
「ええ。あなたは十分可愛いわ」

 本当にそう思いながら、愛しげに彼の頭を撫でた。

「ユリウス・ボルトレフに『可愛い』?」
「ええ、可愛いわ」  
「まったく」
「きゃっ」

 少し収まりかけていたユリウスのものが、また大きくなり腰を下から突き上げてきて、最奥に先端がぶち当たった。

「その言葉は、二人だけの時にしてくれ。俺が妻に可愛いなどと言われているなど、ランディフやケーラ達に知られたら、からかわれる。もちろんミアやリロイの前でもだ」
 
 そう言いながら、ユリウスは腰をゆっくり動かす。

「あ…は、あ…可愛い…は、悪いことでは…ないわ」 
「わかっているが、大の大人の男を表現するのには、いささか不適切だぞ」  
「あ…は、あぁ」
 
 ジゼルから溢れ出た蜜と、ユリウスが放った精が混ざりあい、ジュブジュブと音を立てながら、ユリウスのものが中を掻き混ぜる。その度に感じるところが変化し、イッたばかりのジゼルは簡単に達してしまった。
 可愛いと言われてムキになるユリウスが、また可愛いと思うのだが、あまりしつこく言うと、拗ねてしまいそうだ。

「じゃあ、私だけの特権ね」

 自分だけがユリウス・ボルトレフに言える言葉。
 
「もちろん。あなただけだ」

 その特別感に、ジゼルはゾクゾクして、思わずお腹に力が入った。

「ジゼル…そんなに絞めたら…く…またイキそうだ」
 
 さっきからジゼルの中に入ったまま、ユリウスの分身は衰える暇がない。当然ジゼルの方も、もう何度イかされたかわからない。

「私もです。ユリウス。一緒に、二人で一緒にいきましょう」

 ユリウスの首に、ぎゅっと抱きつく。

「ああ、共に…これからも何度でも…」
「愛しています」
「俺も、愛している」
 
 その夜、夜が明け、空が白み始めるまで二人は愛を交わした。


 そして十ヶ月後、ボルトレフの領地で元気な男の子が産声を上げた。

ー完ー
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