出戻り王女の恋愛事情〜人質ライフは意外と楽しい
 ユリウスのものが自分の中で、さらに大きくなるのを感じ、ジゼルは喘ぎ声を漏らした。

「…、ん、ああ」
「すまない。辛いか?」

 それを痛がっていると思ったのか、ユリウスは腰を引きかけた。

「だめ、やめないで」

 それをジゼルは引き止めた。

「しかし…」
「大丈夫です。辛くて声を出したのではないの」
「本当に? 無理はしていない?」

 心配そうに見下ろすユリウスに、ジゼルはこくりと頷いた。

「あなたを感じられて嬉しいです。私は今、とても幸せなんです」

 ジゼルは自分の下腹部に手を当てる。ユリウスのものがそこにあるのが、皮膚の上からもわかる。
 
「ジゼル」
「だからやめないで。もっと、あなたを感じさせてください。まだ私はあなたの形を覚えていない」
「ったく、君は煽るのが上手いな」
「あ、んん、そんな…こと、あ、煽るだなんて」

 煽ったつもりはないが、引きかけたものを、ユリウスはまた押し込んだ。膣壁を擦られて、ジゼルは痺れるような快感に震えた。

「俺の形を覚えるとか、そんなことを言われたら何度もしたくなるじゃないか」
「そ、そんなつもりは、あ、ああ」

 ゆっくりとユリウスが腰を動かし、縊れた部分が膣壁を擦っていく。同時に乳首を摘ま、愛芽も弄られて、ジゼルは背中を反らせた。
  
「そんなに、絞めるな。動けなくなる」
「ご、ごめんなさい…でも…勝手に体が…」

 力を入れているつもりはないのに、勝手に膣が絞まる。緩めろと言われても、どうしていいかわからない。
 
「謝らなくていい。ほら、俺の目を見て」

 言われて固く閉じていた目を開けると、ユリウスの赤い瞳が優しい光を放ち、ジゼルを見つめていた。

「ゆっくり、呼吸して。さあ、吸って吐いて。そう上手だ。偉い」
 
 息をするなど、生きていれば当たり前の行動たが、知らぬ間に息を詰めてきたらしい。
 
「まるでミア様たちと話しているみたい」

 父親のような言い方だと思って、複雑な気持ちになる。

「父親なんだから、仕方がない」

 拗ねた風に口を尖らせる彼が可愛く見えて、胸が高鳴った。

「可愛い」
「俺が、可愛い? そんなこと、リロイ達位の年頃以来、言われたことがないぞ。大人の男に『可愛い』は禁句だぞ」

 声が思わず漏れていたようで、本気で拗ねた表情でジゼルの鼻先をちょんと唇で触れる。それと同時に男を誇示したいのか、腰を揺らしてジゼルの中で掻き回した。

「……や、あ、ユリウス、そこは…」
「ほら、『可愛い』男の子は、こんなことをしないだろ?」
「そ、そう…たけど…あん、あ、あぁ」

 奥を掻き回され、ジゼルはビクビクと身を震わせた。それでも、そのどこか拗ねて男を主張するの様子も、ジゼルには可愛く思えてしまう。

「ほら、今君を貫いているのは、誰のものだ?」
「だ、め、おかしくなる。は、あ、ああん。でも、そう…思ったの、だもの」

 喘ぎながら、可愛いものを愛でる視線をユリウスに向ける。

「俺を『可愛い』と言って許されるのは、君だけだ」
「わたし…だけ? ああ、」 
「ミア達だって、俺を『可愛い』なんて言わない」

 自分だけだと言う言葉が、ジゼルを増々ときめかせる。

「可愛いのは君の方だ。こんな声で啼く君が、とても可愛くて愛しい」
「私も、誰よりも強くて頼もしいボルトレフの長が、ミア達の素敵な父親が、私の前では『可愛い』人に見えるあなたを、愛して…います」

 ユリウスの目尻が下がり、口角が上がる。

「俺の愛情を、これからたっぷり、君の中に注ぐ。覚悟して」

 それ以上、言葉はいらなかった。
 唇を重ねながら、ユリウスが激しく腰を振る。
 上と下で繋がり合い、二人がひとつになる。

 ユリウスから迸る熱がジゼルに注がれ、彼女を焦がす。その熱を身内に受け入れ、ジゼルは絶頂を迎えた。
 自分の中で精を解き放つ瞬間のユリウスの表情があまりにせつなげで、ジゼルはやはり可愛いと思ってしまった。
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