【完結】婚約破棄されて嫁いだ先の旦那様は、結婚翌日に私が妻だと気づいたようです
「舞台で一度訪れたことがあって、その時に教えていただいたんです。この時期に皆さん、月を見てこうしてゆっくりするのだそうですよ」
「月を?」
「はい、あいにく満月の日はダンスパーティーでしたから、今日にしました」
そう言って二人は静かに月に目を移す。
先程顔を歪めた酒に手を伸ばして飲んでみる。
段々涼しくなってきた夜風が二人を静かに撫でていく──
「いいものかもしれないね。こうした静かな夜も」
「ええ」
「このベンチも料理も酒も、用意してくれたのか?」
「はい、ジュリア様が先日のお詫びにとくださったものの中にあって……。ベンチは町のグリードさんにお願いしました」
大工屋であるグリードに依頼をして昼間つくり上げてもらった。
エリーヌもすこしだけ手伝ったのだが、やはり素人には木を切ることも組み立てることもうまくいかない。
「ルイスさんの地下室を作ったのもグリードさんだと聞きました」
「そう、父の時からよくお世話になっててね。家の家具もいくつか仕立ててもらった」
「そうだったんですね」
月をぼんやりと眺める彼の手に、自らの手を重ねる。
「月を?」
「はい、あいにく満月の日はダンスパーティーでしたから、今日にしました」
そう言って二人は静かに月に目を移す。
先程顔を歪めた酒に手を伸ばして飲んでみる。
段々涼しくなってきた夜風が二人を静かに撫でていく──
「いいものかもしれないね。こうした静かな夜も」
「ええ」
「このベンチも料理も酒も、用意してくれたのか?」
「はい、ジュリア様が先日のお詫びにとくださったものの中にあって……。ベンチは町のグリードさんにお願いしました」
大工屋であるグリードに依頼をして昼間つくり上げてもらった。
エリーヌもすこしだけ手伝ったのだが、やはり素人には木を切ることも組み立てることもうまくいかない。
「ルイスさんの地下室を作ったのもグリードさんだと聞きました」
「そう、父の時からよくお世話になっててね。家の家具もいくつか仕立ててもらった」
「そうだったんですね」
月をぼんやりと眺める彼の手に、自らの手を重ねる。