【完結】婚約破棄されて嫁いだ先の旦那様は、結婚翌日に私が妻だと気づいたようです

おまけ 僕の世界は色づき始めた

「もうあがっていいよ!」
「わかりました、それではお先に失礼します」
「あいよ。明日は休みでいいからね!」
「ありがとうございます!」

 店主に見送られた彼は、店から数分ほど歩いた街の一角にある家に帰る。
 バッグを置いた彼はその足で二階へと上って行った。
 一階は綺麗に整頓されているが、二階は少し散らかっている。
 部屋の端にある机はほとんど画材道具で埋め尽くされて、鉛筆を削った跡がそのまま残っていた。

「寝坊しちゃったから、そのままにしてたんだった」

 彼は鉛筆の削った木くずをゴミ箱に捨てる。
 そうして、机を綺麗に片づけた時、一つの手紙を見つけた。

「あ……」

 そこには「ルイスさんへ」と書かれていた。
 手紙を開けると、そこには見覚えのある彼の義理の姉の文字が目に入る。

『ルイスさんへ

 新しい街での暮らしはそろそろ慣れましたか?
 少し前にそちらの街に移り住んだと聞きました。
 アンリ様から聞いたのですが、リースで住んで絵を描くのが夢だったそうですね!
 その夢が叶ったこと、私も嬉しく思います。

< 166 / 173 >

この作品をシェア

pagetop