【完結】婚約破棄されて嫁いだ先の旦那様は、結婚翌日に私が妻だと気づいたようです
 エリーヌはいつの間にか気を失っており、その場に倒れていた。
 ひどい頭痛がして、喉がなぜか焼けるように痛い。

 すると、バルコニーのほうからざわざわと声がするのが聞こえる。
 耳を澄ませると、第一王子であるゼシフィードの声がした。

「エリーヌはどこに行ったんだ?!」

 気を失ったまま休憩時間を過ぎていたようで、エリーヌは慌ててドレスの裾を持って舞台のほうへと走って戻った。

「はぁ……はぁ……」

 身体が熱く、ひどい風邪を引いたような重だるさがエリーヌを襲う。
 眩暈や頭痛も辛かったが、大事な舞台に穴をあけてはならないと彼女はひた走った──

「申し訳ございませんっ! 準備に時間がかかってしまいまして……」

 ダンスホールの入り口に姿を現した彼女に、皆の視線が刺さる。
 怒号を覚悟したエリーヌだったが、意外にも歓迎ムードの声がそこかしこからあがり、まるでアンコールを待っていたかのような盛り上がりようだった。

(よかった……)

 ゼシフィードと目が合うと、彼はエリーヌにすぐに舞台に上がるように目で指示をした。
 だが、珍しくその横には見慣れない人物がいた。

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