【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
「君があんな香水を作るとは意外だったな」
媚薬……香水の効果が完全に抜けたのはバスルームからベッドに移動してもう一度体を重ねた後だった。ロルフは隣で立ち上がれないニーナに意地悪な笑みを向ける。ロルフからはニーナが先日作ったラベンダーの香りがするから嬉しいのか恥ずかしいのか感情が忙しない。
「た、たまたま出来てしまったんですっ」
ニーナはシーツに包まり赤い顔を隠した。ロルフのために作った香水だったなんて口が裂けても言えない。男が上機嫌に喉を鳴らす音が聞こえて余計に恥ずかしさが募った。
「だめだな……あんなことをされるとまだ生きていたくなる」
冗談のような口調で笑うロルフにニーナはシーツからバッと顔を出す。出さずには、言わずにはいられなかった。
「ロルフ様には生きて頂かないと困ります」
真剣な顔と瞳で告げたニーナにロルフは少し目を瞠ってから微笑んだ。
「それは俺が君の雇い主だから? それともキスも、それ以上も奪った男だからか?」
「そ、それは、そうですけど……! そうではなくて……」
そうだけれど、そうじゃない。ニーナはただロルフに生きていて欲しいだけだ。