【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
赤い満月の夜の呪いなんかに、ロルフを渡したくない。それだけだった。
「君は優しいな」
ニーナの言いたいことを察してか、ロルフがニーナをそっと抱き寄せる。優しい声で耳を擽られてニーナは思わず背中を震わせてしまう。
「優しいから、十三年も前に会ったきりの男を忘れられず、俺ですら受け入れてしまうんだろう。きっと銀髪で碧眼の男が物珍しかっただけだ。だから全て終わったそのときは、全て忘れてしまっていいんだ。王家の加護は調香師としての君のこれからを必ず護るから」
ロルフの言葉にかっと頭に血が上った。怒りと絶望が同時に襲ってきたような感覚にニーナは気付けば抱きしめられていた胸を押し返し、声を張っていた。
「私の……っ、私の恋を馬鹿にしないでくださいっ! 忘れろなんて……忘れられるわけないじゃないですか……っ! 絶対に忘れてなんかあげませんっ! 私はロルフ様に生きていて欲しいんです……っ……王家の加護なんてどうでもいいです……だって私はあなたが……、あなたの専属調香師ですもん……」
消え入ってしまいそうな最後は無理矢理言葉を付け加えた。思わず『あなたが好きだから』なんて言ってしまいそうだったのを寸前で飲み込んだ。
「君は優しいな」
ニーナの言いたいことを察してか、ロルフがニーナをそっと抱き寄せる。優しい声で耳を擽られてニーナは思わず背中を震わせてしまう。
「優しいから、十三年も前に会ったきりの男を忘れられず、俺ですら受け入れてしまうんだろう。きっと銀髪で碧眼の男が物珍しかっただけだ。だから全て終わったそのときは、全て忘れてしまっていいんだ。王家の加護は調香師としての君のこれからを必ず護るから」
ロルフの言葉にかっと頭に血が上った。怒りと絶望が同時に襲ってきたような感覚にニーナは気付けば抱きしめられていた胸を押し返し、声を張っていた。
「私の……っ、私の恋を馬鹿にしないでくださいっ! 忘れろなんて……忘れられるわけないじゃないですか……っ! 絶対に忘れてなんかあげませんっ! 私はロルフ様に生きていて欲しいんです……っ……王家の加護なんてどうでもいいです……だって私はあなたが……、あなたの専属調香師ですもん……」
消え入ってしまいそうな最後は無理矢理言葉を付け加えた。思わず『あなたが好きだから』なんて言ってしまいそうだったのを寸前で飲み込んだ。