【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
 隣で取り交わされる会話にニーナは耳まで真っ赤になっている自分を自覚せざるを得ない。
香水のことだと分かっているし、会話の流れでそう言っているだけなのかもしれないがロルフの口から香水を褒めてもらえるとやっぱり恥ずかしくて、嬉しい。

 物珍しげに辺りを見渡すニーナに村の長老だという人物がこの森の人々について話してくれた。その話によるとこうだ。

『神々の森に住む者たちは皆、先祖のネコの血が強い』
『そのため魔力がほぼ無いに等しく神々の森の聖力に頼らざるを得ない』
『だがその代わりにずば抜けた身体能力と聴力、夜目が利くため王国の裏方として森への侵入者を絶対に見逃さず全て王へ報告する大切な役割を担っている』

 因みに村は神々の森の力により隠されていて招いた者以外はたどり着けなくなっているらしい。

「すごいわ……! 国を支え護ってくださっていた方を今まで知らなかったなんて……!」

 ニーナは感激し一人一人にお礼を言ってまわった。今まで、隣国のことなど遠いおとぎ話のように感じるほど平和に暮らせていたのは彼らのおかげだったのだ。
 香水を配りながら感謝を伝えるニーナは、後ろからドレスを引っ張られ、振り返ると少年がこちらを見上げにこっと笑った。

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