【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
その中にはいっていたのは、ニーナが想像した通りの«香玉»だった。
ニーナ手にそれが渡ると、同時にロルフからはほんのりと寂しげな香りが漂う。
初めて感じた、ロルフ自身の香り。十三年前の記憶が蘇る。思い出すことを許されたかのように。
「……あなただったんですね。ロルフ様、私、私ずっとあなたを……」
感極まって抑えきれなくなるニーナを黙らせるようにロルフは強く抱きしめた。でもそれは、熱く抱きしめ返せるものではななった。ロルフの腕は震えていて、息は荒い。圧し掛かってきた体は茹だるように熱い。
「だめだ。それ以上は……頼む、これ以上俺に生きていたいと思わせないでくれ。幸福で……怖いんだ」
呪いによる発作がおきているのだとニーナは悟った。マント越しに、背中のアザがあった場所が燃えているように熱をもつ。
昼間だから発作は起こらないだろうと油断していた。
「ロルフ様……!」
ロルフの意識は朦朧としている。いつもの発作より酷いのは一目瞭然だった。素性を隠している以上、助けを呼ぶことも出来ない。
ニーナ手にそれが渡ると、同時にロルフからはほんのりと寂しげな香りが漂う。
初めて感じた、ロルフ自身の香り。十三年前の記憶が蘇る。思い出すことを許されたかのように。
「……あなただったんですね。ロルフ様、私、私ずっとあなたを……」
感極まって抑えきれなくなるニーナを黙らせるようにロルフは強く抱きしめた。でもそれは、熱く抱きしめ返せるものではななった。ロルフの腕は震えていて、息は荒い。圧し掛かってきた体は茹だるように熱い。
「だめだ。それ以上は……頼む、これ以上俺に生きていたいと思わせないでくれ。幸福で……怖いんだ」
呪いによる発作がおきているのだとニーナは悟った。マント越しに、背中のアザがあった場所が燃えているように熱をもつ。
昼間だから発作は起こらないだろうと油断していた。
「ロルフ様……!」
ロルフの意識は朦朧としている。いつもの発作より酷いのは一目瞭然だった。素性を隠している以上、助けを呼ぶことも出来ない。