【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
「……君の言う通りだ。十三年前、この森で彼女に出会った。しかし俺は無能な王子だった。このままでは彼女に危険が及ぶ。だからこの森に願ったんだ。彼女が俺を忘れ幸せになるようにと――だが、もう遅かった。そう、思っていたのに……君は……」
ロルフの口から初恋の彼女が語られる。目の前にいるのがニーナだということさえ分からない状態らしい。
ニーナは急いでポケットから香水を取り出した。
母の形見である未完成の«真実の愛»を持ってきていたのだ。今のロルフの苦しみを救えるならこの香水が完成しなくても構わない。それほど強い想いがニーナの魔力となって溢れ出す。
「――尊き者の盾となり……いいえ、愛する者を導く光となり、寄り添う想いをここに宿してください……っ」
ニーナが胸に抱いた香水瓶がぱあっと大きく光った。今まで見た事のない輝きに、目を見張る。
その光は眩しすぎるほどなのに、優しく包み込むような香りに変化する。その光に反応するように森が唸って、大きな風が巻き起こった。
「あっ――」
しっかり握っていたはずなのにニーナの手から香水瓶が離れ、風に乗せられてくるりと回って光り輝く。まるで、森の力が香水に注がれるようだ。ニーナは手を伸ばして、瓶を森から受け取った。
ロルフの口から初恋の彼女が語られる。目の前にいるのがニーナだということさえ分からない状態らしい。
ニーナは急いでポケットから香水を取り出した。
母の形見である未完成の«真実の愛»を持ってきていたのだ。今のロルフの苦しみを救えるならこの香水が完成しなくても構わない。それほど強い想いがニーナの魔力となって溢れ出す。
「――尊き者の盾となり……いいえ、愛する者を導く光となり、寄り添う想いをここに宿してください……っ」
ニーナが胸に抱いた香水瓶がぱあっと大きく光った。今まで見た事のない輝きに、目を見張る。
その光は眩しすぎるほどなのに、優しく包み込むような香りに変化する。その光に反応するように森が唸って、大きな風が巻き起こった。
「あっ――」
しっかり握っていたはずなのにニーナの手から香水瓶が離れ、風に乗せられてくるりと回って光り輝く。まるで、森の力が香水に注がれるようだ。ニーナは手を伸ばして、瓶を森から受け取った。