【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
ニーナはそっと愛しい人の背中に手を添えた。あんなに静かな瞳で剣を握っていた男の左胸から激しい鼓動が響いて、なんだかほっとしてしまう。
「……この庭はいつか俺から案内したいと思っていたんだがな」
ふいっと視線をそらすロルフは、ニーナの知っている愛しいロルフだ。
今すぐ頬をすり寄せて、もっと、ぎゅっとくっついていたくなる。
けれど、そんな暢気な思考は背後からかけられた溜め息に遮られる。
「こーら。僕もいるんだからさあ。二人だけの世界に浸るのやめてよね」
いつのまにか人の姿に戻っていた王太子が呆れた顔でふたりを眺めていた。
「ミカエル貴様……」
ロルフはニーナを自分の後ろに隠し、ギロッと王太子を睨む。
「なんか今日戻ってくるの思ったより早かったねえ。今日は騎士団長と悪党狩りじゃないの? 無実の国民を責め立てるんじゃないの? 最近ロルフ派が増えてきて面白くないなあ」
「うちの騎士団は優秀だからな。俺がいなくてもなんとでもする」
ロルフ様がそんなことするわけないじゃない。と内心ニーナも王太子を威嚇しつつ、ふたりのやりとりに先程の戦慄するような雰囲気はなくなったため、少し胸を撫で下ろす。
「……この庭はいつか俺から案内したいと思っていたんだがな」
ふいっと視線をそらすロルフは、ニーナの知っている愛しいロルフだ。
今すぐ頬をすり寄せて、もっと、ぎゅっとくっついていたくなる。
けれど、そんな暢気な思考は背後からかけられた溜め息に遮られる。
「こーら。僕もいるんだからさあ。二人だけの世界に浸るのやめてよね」
いつのまにか人の姿に戻っていた王太子が呆れた顔でふたりを眺めていた。
「ミカエル貴様……」
ロルフはニーナを自分の後ろに隠し、ギロッと王太子を睨む。
「なんか今日戻ってくるの思ったより早かったねえ。今日は騎士団長と悪党狩りじゃないの? 無実の国民を責め立てるんじゃないの? 最近ロルフ派が増えてきて面白くないなあ」
「うちの騎士団は優秀だからな。俺がいなくてもなんとでもする」
ロルフ様がそんなことするわけないじゃない。と内心ニーナも王太子を威嚇しつつ、ふたりのやりとりに先程の戦慄するような雰囲気はなくなったため、少し胸を撫で下ろす。