【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
国王の部屋を訪ねた理由はロルフに説明した。けれど、王太子への言葉の意味は誤魔化した。いわば『ロルフ救済同盟』のようなものだ。彼はきっと、なにか鍵になるものを知っているのだろう。
(初恋の人、ロルフ様の存在は私の生きる糧だった。今度は私が彼を救いたい)
そんな彼は少し子供っぽいところがある。
私より四歳も年上なのに拗ねるとあからさまに顔に出てしまうところとか。
意外と嫉妬深いところとか。
「君のためなら何でもする。どうか俺を頼ってくれ。……愛してる」
囁かれた愛と深いキスを飲み込んで、同時にお腹の奥に熱を感じた。
肩で息をしながら、くたりとロルフの胸板にもたれかかると愛しそうに両腕で抱きしめられた。
人を助けてばかりのこの人を救いたい。この人との……未来がほしい。
しばらくシーツにくるまり微睡んでいるとロルフがニーナの鼻先を摘まんできた。
「……な、なにを」
「君のこんな姿を見れるのも俺だけなんだよな」
真顔で、幸せそうに目を細めるから思わずくすっと笑ってしまう。
「当然です……ロルフ様もですよ。こんなに優しいロルフ様私しか知らなくていいのにって思ってしまいます」