【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
実は今朝《真実の愛》の香水をロルフが持っていた香り玉の一部に含ませたのだ。けれど、この香水が未完成なのはニーナにも分かった。輝きも、香りも全く未知の物では無いからだ。
きっと、まだなにかが足りない。
そのためには伝えなければいけない。エゴイストで彼の過去の苦しみを否定する言葉だとしても。
「私、必ずロルフ様の呪いを解いてみせます。だからロルフ様も、生きることを諦めないでください」
口にしていいのか、ずっと分からなかった言葉を放った。
碧眼が瞠って、困ったように微笑む。
「俺は何度君に救われるんだろうな」
「ロルフ様……」
目頭を押さえた彼をニーナは細い腕で抱き寄せる。
愛しい人は腕に収まらないほど大きいのに、小さな子供のような儚さがある。
「ありがとう。足掻いてみるよ。ニーナと一緒にいられる未来があるなら……だからどうか危険な真似だけはしないでくれ」
「……はい」
白銀の髪に頬をすり寄せて、ニーナは男をあやしながら浅い眠りに落ちた。
◇
調合を続け、一週間が経った。
ニーナの焦りは募りに募って何本もの新作香水を完成させてしまっている。
赤い満月の夜まで、あと五日。
きっと、まだなにかが足りない。
そのためには伝えなければいけない。エゴイストで彼の過去の苦しみを否定する言葉だとしても。
「私、必ずロルフ様の呪いを解いてみせます。だからロルフ様も、生きることを諦めないでください」
口にしていいのか、ずっと分からなかった言葉を放った。
碧眼が瞠って、困ったように微笑む。
「俺は何度君に救われるんだろうな」
「ロルフ様……」
目頭を押さえた彼をニーナは細い腕で抱き寄せる。
愛しい人は腕に収まらないほど大きいのに、小さな子供のような儚さがある。
「ありがとう。足掻いてみるよ。ニーナと一緒にいられる未来があるなら……だからどうか危険な真似だけはしないでくれ」
「……はい」
白銀の髪に頬をすり寄せて、ニーナは男をあやしながら浅い眠りに落ちた。
◇
調合を続け、一週間が経った。
ニーナの焦りは募りに募って何本もの新作香水を完成させてしまっている。
赤い満月の夜まで、あと五日。