【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
六章


 ◇


 この数日ロルフは苦しむことが急激に増え、満ち欠けの赤い月が昇る夜は
《真実の愛》の効き目が薄くなった。完成を急げば急ぐほど空回りばかりして、ついに昨夜は苦しむロルフの隣で祈ることしかできなかった。
 必ず呪いを解いてみせるなどと意気込んだものの、成果が全く出ずなんて自分は無力なのだろうと追い詰められる。

「ニーナ大丈夫? こっちのスープなら食べられる?」

 メイドのリリィが心配して調合室を尋ねてきてくれる。食事をする時間すらも惜しいと感じてしまうためニーナはお礼だけ言って首を横に振った。

「そういって昨日も食べてないでしょ! ……ねえニーナ。植物園に新しい花が入ったって聞いたわ。もしかしたらいい材料になるかもしれないし行ってみない?」
「新しい花……」
「そう! あっ、でもそれには条件があるの。私のランチに付き合ってくれること。植物園のなかにちょっとしたお茶が出来るスペースがあってね!」

 ニーナはちらりと窓の外をみた。陽が陰り始めている。また今日も何の成果も得られないまま終わってしまう。
 リリィには本当に申し訳ないが今は食事を取れる気分ではない。

「……でも私時間が」

 でも、新しい花は気になる。

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