【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
狭い茨の中で重なり合った指は引き抜かれ、ロルフの手の甲に微かな傷をつけた。青ざめるニーナを窘め、さり気なく彼女の手に傷がないことを確認する姿を終始見ていたリリィがぽかんと口を開けている。噂に聞く第二王子は調香師、はたまた愛人相手にここまで紳士に接するものなのだろうかと、そう言いたげな視線だ。
さらに輪をかけるように軽快な足音が響いて、その場の全員が視線を向けた。
「ニーナちゃんに話があって探してたんだけど、なんかこの感じいつもと逆だねえ」
「ひっ! ミ、ミカエル様!」
「あれ? 君は? 会ったことある気がするんだけど」
「口説くなら他所でやれ、ミカエル」
「かすり傷に便乗していちゃつこうとしてるヤツに言われたくないなあ」
現れたミカエルがリリィの手を取ってお得意の微笑みで卒倒させかけていたり、また兄弟喧嘩が勃発しそうになったり。
少し前までだったら楽しいと思えたかもしれない。でも今はその余裕すらない自分がいる。
「ごめんなさい。私その花を少しだけ分けて頂きたくて……」
ニーナの切羽詰まった声に一瞬その場が静まり返る。そして三人は顔を見合わせてからロルフがニーナの手を握った。
さらに輪をかけるように軽快な足音が響いて、その場の全員が視線を向けた。
「ニーナちゃんに話があって探してたんだけど、なんかこの感じいつもと逆だねえ」
「ひっ! ミ、ミカエル様!」
「あれ? 君は? 会ったことある気がするんだけど」
「口説くなら他所でやれ、ミカエル」
「かすり傷に便乗していちゃつこうとしてるヤツに言われたくないなあ」
現れたミカエルがリリィの手を取ってお得意の微笑みで卒倒させかけていたり、また兄弟喧嘩が勃発しそうになったり。
少し前までだったら楽しいと思えたかもしれない。でも今はその余裕すらない自分がいる。
「ごめんなさい。私その花を少しだけ分けて頂きたくて……」
ニーナの切羽詰まった声に一瞬その場が静まり返る。そして三人は顔を見合わせてからロルフがニーナの手を握った。