【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
なぜこんなところに王妃がいるのか。王妃は先程ニーナが触れようとしていた赤い花を指さした。声を荒らげる王妃は今のニーナと同じようにどこか切羽詰まっているようにみえる。
「申し訳ございません……使える人材が隣国で摘発される事態が増えておりまして……」
「そんなこと知ったことではないわ……ああ。お前がこんなに使えないとは思わなかった」
「も、申し訳ございませんっ! ああっ、そうです! 仰せの通り国民の不満は全て第二王子へ向くよう仕向けております。赤い満月も近づいておりますし、もう王妃様の邪魔をするものはいなくなるかと……!」
「それは当然よ。なんのために二十五年も大人しく待っていたと思っているの? あんな下手な呪いがなければすぐにでも始末してやったというのに……」
王妃は地面に両手をついて縋り付く男の腕を爪先でしっとりと撫で上げた。
「いい? 私にはあの香水が必要なの。純粋で高潔な《真実の愛》。あれが私を幸福に導くのよ。やっと本当の愛が手に入るの」
王妃が微笑むと男はうっとりと目を潤ませて何度も頭を下げる。
「竜の加護は受けられなかった可哀想な私が本当の愛を手に入れたいと言っているのに、お前はそれすら叶えてくれないというの?」
「申し訳ございません……使える人材が隣国で摘発される事態が増えておりまして……」
「そんなこと知ったことではないわ……ああ。お前がこんなに使えないとは思わなかった」
「も、申し訳ございませんっ! ああっ、そうです! 仰せの通り国民の不満は全て第二王子へ向くよう仕向けております。赤い満月も近づいておりますし、もう王妃様の邪魔をするものはいなくなるかと……!」
「それは当然よ。なんのために二十五年も大人しく待っていたと思っているの? あんな下手な呪いがなければすぐにでも始末してやったというのに……」
王妃は地面に両手をついて縋り付く男の腕を爪先でしっとりと撫で上げた。
「いい? 私にはあの香水が必要なの。純粋で高潔な《真実の愛》。あれが私を幸福に導くのよ。やっと本当の愛が手に入るの」
王妃が微笑むと男はうっとりと目を潤ませて何度も頭を下げる。
「竜の加護は受けられなかった可哀想な私が本当の愛を手に入れたいと言っているのに、お前はそれすら叶えてくれないというの?」