【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
呪いの解除方法を王妃は知っていたのだろうか。王妃の部屋で見つけたロルフの母が残した香水と手紙の入った宝箱が開かれた形跡はなかったけれど、手がかりがそれだけだとは限らない。それに、どちらにせよロルフの命も、民衆の命もただの駒だとしか思っていないのはよく分かった。許せない。
竜の目を目がけて不安定な矢が飛ばされた。その先にいたのは状況が理解出来ていない子供で、竜はその子を護るように体勢を変えた。その隙を狙って、碧眼に向けてもう一本の矢が飛ばされる。
「だめっ……!」
矢は一歩遅ければ竜の目に的中だった。矢の先は、竜の手を抜けて宙を舞った猫を射貫く。
瞬間、ざわめきは一瞬にして収まった。
「ニーナ……! ニーナ!」
目を瞠った竜は敵に囲まれていることなど構わず姿を人に変え猫を抱きかかえる。そして人の声とは思えないほど低く、地を這うような声でうなり声をあげた。
この世の終わりのような音に、誰もがその場から動けなくなる。
誰もが目を泳がせ、絶望し、持っている武器を落とした。もう誰もこの状況を正確に判断できていない。
持たざる極悪王子と呼ばれた男が、伝説に記された白竜の姿で現れ、たった一人の国民にすぎない子供を庇い、その竜を猫が体を呈して護ったのだ。
竜の目を目がけて不安定な矢が飛ばされた。その先にいたのは状況が理解出来ていない子供で、竜はその子を護るように体勢を変えた。その隙を狙って、碧眼に向けてもう一本の矢が飛ばされる。
「だめっ……!」
矢は一歩遅ければ竜の目に的中だった。矢の先は、竜の手を抜けて宙を舞った猫を射貫く。
瞬間、ざわめきは一瞬にして収まった。
「ニーナ……! ニーナ!」
目を瞠った竜は敵に囲まれていることなど構わず姿を人に変え猫を抱きかかえる。そして人の声とは思えないほど低く、地を這うような声でうなり声をあげた。
この世の終わりのような音に、誰もがその場から動けなくなる。
誰もが目を泳がせ、絶望し、持っている武器を落とした。もう誰もこの状況を正確に判断できていない。
持たざる極悪王子と呼ばれた男が、伝説に記された白竜の姿で現れ、たった一人の国民にすぎない子供を庇い、その竜を猫が体を呈して護ったのだ。