猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
猫魔術師らしい、栗色のロングウェーブの髪に新緑色の瞳。小さな鼻にほんのりと赤く染まった頬が童顔を際立たせて、先月二十歳になったとは思えないほど幼く見えてしまう。鏡に映るのは確かに見飽きた自分の姿だからこそ、それを取り囲む風景が余計異質に思えた。
湿っぽい地下の倉庫ではなく、跳ね回れそうなほど広く、豪華な部屋。
薄い毛布のみではなく、天蓋付きの寝台に滑らかな絹のシーツ。
自分の身に纏っている夜着ですら今まで触れたことがないほど肌触りがいい。
この夜着一枚で、きっとニーナの一張羅のドレスが何着も仕立てられてしまうだろう。
視線を落とすと胸元に小さな赤い充血があるのに気がついた。
嫌でも思い出す。なぜ自分がこの場所にいて、なにがあって、これからどうするべきなのか。
「夢じゃなかったのね……」
あそこまでは現実で、あそこからは夢であってほしい……なんて都合が良すぎる願望は叶わない。
昨晩の行為が蘇りそうになりニーナは首を振った。微かに気怠い体と、重い腰を上げて大きなカーテンに近づき、一気に開く。差し込む朝日に目を細め、その風景に現実味が増していく。
ニーナの新緑色の大きな瞳が見開き、輝いた。
高い空。神々しく並ぶ山々と深く広い森に囲まれた美しい土地。
湿っぽい地下の倉庫ではなく、跳ね回れそうなほど広く、豪華な部屋。
薄い毛布のみではなく、天蓋付きの寝台に滑らかな絹のシーツ。
自分の身に纏っている夜着ですら今まで触れたことがないほど肌触りがいい。
この夜着一枚で、きっとニーナの一張羅のドレスが何着も仕立てられてしまうだろう。
視線を落とすと胸元に小さな赤い充血があるのに気がついた。
嫌でも思い出す。なぜ自分がこの場所にいて、なにがあって、これからどうするべきなのか。
「夢じゃなかったのね……」
あそこまでは現実で、あそこからは夢であってほしい……なんて都合が良すぎる願望は叶わない。
昨晩の行為が蘇りそうになりニーナは首を振った。微かに気怠い体と、重い腰を上げて大きなカーテンに近づき、一気に開く。差し込む朝日に目を細め、その風景に現実味が増していく。
ニーナの新緑色の大きな瞳が見開き、輝いた。
高い空。神々しく並ぶ山々と深く広い森に囲まれた美しい土地。