猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
竜と猫魔術師の国と呼ばれるウィルデン王国。窓からは、国を一望できる頂点を統べる者だけに与えられた景観が広がっており、今ニーナが立っている場所がどこなのかはっきりと表していた。
いつも遠目に眺めることしかなかった、竜の王族だけが住む城。国民を護る神殿のような場所。
――ついこの間まで、一生この場所に足を踏み入れることすらないと思っていたのに。
ニーナは窓を開けて深く息を吸い込んだ。そして集中する。
朝露の瑞々しい香り、元気な土の香り、それから何種類ものハーブ、それから微かに漂っているのは柑橘の……オレンジ?
ニーナは平気だが、猫の血が濃い者からは柑橘系の香りはあまり好まれていない。そのためニーナもあまり身近に感じたことがなかったが竜を中心としたこの城では中庭に木でもあるのかもしれない。
夢中になって香りの分析をしてしまうのは最早職業病だ。だが、朝一番にこれをすることによって頭が冴える気がするし、なにより楽しいのだ。
「香りの好き嫌いなんて言ってられないわね。きっとこの場所は見たこともない植物や果実の香りで溢れてるんですもの」
いつも遠目に眺めることしかなかった、竜の王族だけが住む城。国民を護る神殿のような場所。
――ついこの間まで、一生この場所に足を踏み入れることすらないと思っていたのに。
ニーナは窓を開けて深く息を吸い込んだ。そして集中する。
朝露の瑞々しい香り、元気な土の香り、それから何種類ものハーブ、それから微かに漂っているのは柑橘の……オレンジ?
ニーナは平気だが、猫の血が濃い者からは柑橘系の香りはあまり好まれていない。そのためニーナもあまり身近に感じたことがなかったが竜を中心としたこの城では中庭に木でもあるのかもしれない。
夢中になって香りの分析をしてしまうのは最早職業病だ。だが、朝一番にこれをすることによって頭が冴える気がするし、なにより楽しいのだ。
「香りの好き嫌いなんて言ってられないわね。きっとこの場所は見たこともない植物や果実の香りで溢れてるんですもの」