【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
根も葉もないウワサで理不尽に罵られ、相手にもされない。
自分を納得させることには慣れている。大丈夫。またいつも通りの生活に戻ればいいだけ。
ギュッと手を握り締めると、自分が香水瓶を持ったままだったことに気がついた。
ころん、とした丸みのある瓶の中には第二王子をイメージして作った琥珀色の香水が揺らいでい
る。
――本当に、噂通りの極悪人。
なぜあんなキスを……いや、それ以上のことをしたのか、なぜ極悪王子と呼ばれる振る舞いをしているはずなのに、あんなに寂しい瞳をしているのか。
頭からつま先まで彼のことを考える日々だった。
でも、その彼に「愛人にでも」なんてからかいを受けたのだから、どうしようもない。ニーナは香水を握る手に力を込めた。このまま魔力を目一杯注いで割ってしまいたい。
もういっそ、たたき割ってしまえたら。
「大丈夫なわけ……ないじゃない……っ」
ニーナは地面に向かって香水瓶を振り上げた。だが、叩き割ってしまいたいのに、腕は震えているだけで手を離せない。
誰かを想って作った香水を調香師が捨てられるはずは無かった。悔しくて、悲しくて、新緑色の瞳から大粒の涙が溢れてしまう。
「……っ……どうして……」
自分を納得させることには慣れている。大丈夫。またいつも通りの生活に戻ればいいだけ。
ギュッと手を握り締めると、自分が香水瓶を持ったままだったことに気がついた。
ころん、とした丸みのある瓶の中には第二王子をイメージして作った琥珀色の香水が揺らいでい
る。
――本当に、噂通りの極悪人。
なぜあんなキスを……いや、それ以上のことをしたのか、なぜ極悪王子と呼ばれる振る舞いをしているはずなのに、あんなに寂しい瞳をしているのか。
頭からつま先まで彼のことを考える日々だった。
でも、その彼に「愛人にでも」なんてからかいを受けたのだから、どうしようもない。ニーナは香水を握る手に力を込めた。このまま魔力を目一杯注いで割ってしまいたい。
もういっそ、たたき割ってしまえたら。
「大丈夫なわけ……ないじゃない……っ」
ニーナは地面に向かって香水瓶を振り上げた。だが、叩き割ってしまいたいのに、腕は震えているだけで手を離せない。
誰かを想って作った香水を調香師が捨てられるはずは無かった。悔しくて、悲しくて、新緑色の瞳から大粒の涙が溢れてしまう。
「……っ……どうして……」