【異世界恋愛】【完結】猫族の底辺調香師ですが 極悪竜王子に拾われました。
「この香り……やはりそうだ。君は、本当に……ニーナ、俺には君が必要なんだ。どうか俺の……調香師になってほしい」
――なんて身勝手なんだろう。でも、なんでこんなに胸が苦しくなるんだろう。
ニーナが今つけているのは、目の前のロルフを想って作った香水だ。それを認めて貰えるような言葉をもらって、嬉しくないはずがない。
これは自分にとって最後のチャンスだ。ここで彼の要求を拒めば、一方的に蔑まれ、笑われ、そんな日々
に戻るしかない。そんなのはもう、いやだった。
「分かりました。どうか宜しくお願い致します。ロルフ様」
愛人のフリ、専属調香師、もうこうなったらなんでもどんとこいだ。この男にどう扱われようと、逆に利用してみせる。
普段の日常に戻れば絶対に触れることもできない材料を使って、香水を――≪真実の愛≫を完成させてやると。それに、王族であれば猫族の男性ひとりを探し当てることなど造作もないかもしれない。
香水を完成させて、初恋の彼を探し出して、告白する。
想いを告げたらあとはどう処分されても構わない。
ニーナが内心決意を固めていると、目の前の蒼い瞳が色っぽく歪む。
先日触れられた時と同じように。
「君の香りはどうも、もっと触れたくてたまらなくなる」
――なんて身勝手なんだろう。でも、なんでこんなに胸が苦しくなるんだろう。
ニーナが今つけているのは、目の前のロルフを想って作った香水だ。それを認めて貰えるような言葉をもらって、嬉しくないはずがない。
これは自分にとって最後のチャンスだ。ここで彼の要求を拒めば、一方的に蔑まれ、笑われ、そんな日々
に戻るしかない。そんなのはもう、いやだった。
「分かりました。どうか宜しくお願い致します。ロルフ様」
愛人のフリ、専属調香師、もうこうなったらなんでもどんとこいだ。この男にどう扱われようと、逆に利用してみせる。
普段の日常に戻れば絶対に触れることもできない材料を使って、香水を――≪真実の愛≫を完成させてやると。それに、王族であれば猫族の男性ひとりを探し当てることなど造作もないかもしれない。
香水を完成させて、初恋の彼を探し出して、告白する。
想いを告げたらあとはどう処分されても構わない。
ニーナが内心決意を固めていると、目の前の蒼い瞳が色っぽく歪む。
先日触れられた時と同じように。
「君の香りはどうも、もっと触れたくてたまらなくなる」