baby’s breath(眠れる森の王子は人魚姫に恋をした side story)
エピローグ
母が退院してから3か月がたった。
お義父さんのいない隙を見て、自宅から必要最低限の荷物を持って住んでいた場所から遠く離れた県へとシェルターにお世話になりつつも引っ越しをすることができた。
もう、あの場所へとは戻らない決意をしたので大学も辞め、使っていた携帯電話も解約して新しいものに変えた。母と二人で新しい地で就職もした。
お世話になりっぱなしだった将くんには何か一言でも別れの言葉を伝えなくちゃとは思ったけれど、電話をしようとしても、メールを送ろうとしても涙が溢れてどうにもならないので結果的に突然姿を消す形になってしまった…。
そして最近分かった事実。
おなかの中に新しい命が芽生えていた。
お母さんだけ大切な人と縁を切らせて自分だけ幸せになんてなれないと思ったあの日の決断は後悔していない。
この子が存在する限り、彼と私とのつながりは決して消えない…。
おなかにいる子どもの事を知ったらお母さんは私の事を裏切り者と罵るだろうか…。
怖くてまだ正直に言えないでいた。
「…いつかパパに会えたらいいね。」
ゆっくりとおなかを撫でながらつぶやくと、ブレスレットがシャラりとずれ落ちた。
...end...
お義父さんのいない隙を見て、自宅から必要最低限の荷物を持って住んでいた場所から遠く離れた県へとシェルターにお世話になりつつも引っ越しをすることができた。
もう、あの場所へとは戻らない決意をしたので大学も辞め、使っていた携帯電話も解約して新しいものに変えた。母と二人で新しい地で就職もした。
お世話になりっぱなしだった将くんには何か一言でも別れの言葉を伝えなくちゃとは思ったけれど、電話をしようとしても、メールを送ろうとしても涙が溢れてどうにもならないので結果的に突然姿を消す形になってしまった…。
そして最近分かった事実。
おなかの中に新しい命が芽生えていた。
お母さんだけ大切な人と縁を切らせて自分だけ幸せになんてなれないと思ったあの日の決断は後悔していない。
この子が存在する限り、彼と私とのつながりは決して消えない…。
おなかにいる子どもの事を知ったらお母さんは私の事を裏切り者と罵るだろうか…。
怖くてまだ正直に言えないでいた。
「…いつかパパに会えたらいいね。」
ゆっくりとおなかを撫でながらつぶやくと、ブレスレットがシャラりとずれ落ちた。
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