離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─

ジェニットは素早く回答した。瞬発力がジェニットの魅力だ。


「そう。彼らは未来への投資。

国を担う子どもたちへの投資。

つまり教育への投資に同意しない。なぜかわかるかの?」


議会など踏み入れたことのないジェニットの想像力でも、老齢大臣がたくさん集まった議会室で未来への投資案が通らないことはわかった。


「老人は自分が逃げ切って幸せに老衰することしか考えていないからでしょうか?」

「見事な回答じゃ。老人は短い老い先しか見えん」

「ザラ様、さようならー!」

「ああ、さようなら。良い風が吹くように」


母親に手を引かれて弾ける笑みでザラに手を振ってくれる少女に、ザラは優しく手を振り返した。子どもの中にある未来の輝かしさにザラは焦げ茶色の目を細める。
< 143 / 324 >

この作品をシェア

pagetop