離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
調香師、兼、商売人として訓練した領民女性たちには、調香師の制服を一揃いにして着飾って連れてきた。
緊張で心臓が飛び出そうなハミルトン領女性たちを引き連れたザラの第一弾営業先は、王城だ。
ジェニットは王城を前にしてグリーンの瞳をくるくる丸くした。
「お、王城に来るなんて大胆過ぎますザラ様!」
「国で一番金持ちが多いのはここに決まっておる。約束も取り付けておるぞ?」
「だ、誰に会う気ですか?!」
「ルドルフじゃ」
「ルドルフ様?!」
ジェニットを驚かせてやろうと内緒にしていた商談相手を明かすと、ジェニットはグリーンの瞳丸くした上に頬にポッと花が咲いた。
「ルドルフ様ってヨハンをスカウトしてくれた方ですよね?」
良い反応をするジェニットが愛らしく、ザラはもう一つサプライズを明かした。
「ルドルフは王弟じゃ」
「お、王弟殿下?!」