離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
「ハミルトン領って長雨が降るの知ってる?」
「それが何か?」
「僕、ザラのところに行かなくちゃ。しばらく出かけるから、僕は今日の暗殺襲撃で怪我して療養中ってことにしておいて」
ルドルフがエドワードの用事を察して、静かに頷く。兄の言いなりになるのは大好きだ。エドワードは聞き分けのいい弟ににっこり笑う。ローブを羽織ってフードを被り、口元を布で隠した。アンドリュースタイルである。
「じゃ、留守よろしくね、ルドルフ!僕の暗殺計画はじゃんじゃん立てといて!」
鼻歌を歌いそうな勢いでエドワードはルドルフの肩をパンパンと叩いて、隣を通り過ぎて部屋を出て行った。
留守を任されたルドルフにはどうしても言いたいことがあった。
(僕も行きたいです、兄様……)