離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
留守番は必要だと知りながらも、ハミルトン領に行くならルドルフも一緒に行って、ジェニットに会いたかった。兄の言いなりになりたい病は、恋をしたおかげで小さな綻びを見せていた。
ジェニットに会えない口惜しさを紛らわせるために、ルドルフは懐から取り出した香水を空に放った。
舞い降りた香りを吸い込んで、己を慰めるようにジェニットを想う。
香水は会えない時間の愛を育てるためにも使えるのだ。