離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─


エドワードがばたばた用意を済ませて、階段を下りていくとジェニットの前に大仰な迎えが来ていた。エドワードはザラの手を引いて階段を下りていく。


「あれ?なんかあったかな?ルドルフが迎え寄越すほど帰り急かすなんて珍しいよね」

「至急の案件じゃな、これは」


すぐに二人で何かあったことを察する。玄関に到着すれば、迎えに回収されていくエドワードを見送るザラの頬が緩んだ。


昨夜キスにキスを重ねて、先ほどまでベッドで体温を混ぜ合っていた。なぜか以前よりずっと、離れていくのが名残惜しく思えた。金色でサラサラの前髪がかかる青い目が妙に男前にも見える。


一緒に夜を明かしたことなど何度もあると言うのに、昨夜のキスは特別な感情をザラに目覚めさせた。


ずっとそこにあったものが明確に見えたというのが近い。エドワードとの別れに、今夜も会えたらいいのになんて感情が湧くことは初めての経験だった。


「エドワード、良い風が吹くように」
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