離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
可愛い弟が幸せへと踏み出したのを見て、さっぱり気持ちがいい。エドワードはいつも最大限がんばって尽くしてくれる弟への感謝と、ジェニットへの感謝の役目をきっちり果たして、会場を後にした。
静かな廊下を一人でコツコツ歩くエドワードは、よろっと壁に手をついて立ち止まってしまった。
「いいなぁ……」
弟の幸せが羨まし過ぎて、エドはがっくり力が抜けてしまう。ザラがいてくれればと心の底から乾いていた。
(今日はなんでザラ来ないの?そんなに僕のこと避ける理由ある?)
壁に頭をもたげてぐったりするエドワードの元に現れないザラはその頃、国境を越えて旅立っていた。