離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
「わかっておるじゃろ?我が離縁して出て行きたい理由を」
幼馴染であるエドワードは無論知っている。
彼女はエドワードと離縁して真実の愛を探す旅に出るのだ。
それが彼女の一族の「掟」だからだ。
いや、そんな真実の愛なんて探さなくてもここにあるんですけど?!
と、エドワードはもちろん長年主張してきた。
だが、ザラは納得しない。
褐色肌のザラは豊かに波打つ黒髪を背中に流して腕を組んだ。
「我は自分の足で愛を探す。生まれた時から義務で決まっていた結婚に未練など微塵もない」
「そういう始まりだっていいでしょ?愛は生まれるよ!愛、生もうよ育もうよ!って僕何回も誘ってるよね!」
「無限回に断ったはずじゃ」