離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
首を傾げたルドルフに、エドワードが的確に回答した。
「【ざまあ】とは、罪を犯した者が断罪され追放される様を見て小気味よい快感『いいぞもっとやれ!』を覚えるという人間の本質。
仄暗い欲望を現わす文学界の俗語だ。流行りだぞルドルフ」
「勉強不足で言葉もありません」
「流行も国策のうちだ。励めよ」
「はい!」
ルドルフは兄から筆記用具をお借りして生真面目に「ざまあ、とは」と書きこみ学習した。兄の言いなりになるために、勤勉は必須事項だ。
エドワードはルドルフの勤勉さに満足して、声を張り上げる。
「つまり、断罪されて、国王を追放されるのは……この僕!」
求婚の試練を乗り越えるための一歩目だ。大変張り切っている国王である。
「【ざまあ】されるのは僕!ということだ!」