離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
エドワードは天井を仰いで悦に入った。ルドルフがパチパチ拍手する。これできっとザラとの真実の愛を掴めると、エドワードがぐっと天に向かってこぶしを握った。
「あぁ!早くざまあされたい!ルドルフに完膚なきまでにざまあされたい!!」
ざまあを想像して盛り上がるエドワードに、ルドルフは責任の重圧に耐えかねてカタカタと震え出した。
「ぼ、僕が兄様の求める『ざまあ』ができるでしょうか。心配です」
「大丈夫だルドルフ。お前は真面目が服を着ている。ざまあするために生まれて来たと言っていい」
ルドルフの肩を抱き寄せて、兄はふっと優しく笑う。
「僕が、兄様をざまあできる唯一の存在……」
ざまあするために生まれた王弟と呼ばれて、ルドルフは感動の涙が目に浮かぶ。どこで感動?
エドワードはルドルフを優しく抱き寄せて囁いた。
「お前は僕の後継者だ。王家を頼むぞ」
「兄様のためなら、喜んで」
兄の言いなりになりたい病という真実の愛を体現するルドルフは、朗らかに微笑み跪いて忠誠を誓った。
ザラがあっちで、領地改革大作戦。
エドワードがこっちで、平民になるぞ「ざまあ作戦」が
幕を開けたのだった。