離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
偉そうな平民ザラの改革
貧困にあえぐハミルトン領にて。
女領主ジェニットの屋敷に、ザラは私室を持った。
ザラは私室からコツコツ足音を鳴らして現れて、今から農作業に繰り出そうとするジェニットを廊下で引き留めた。
「ジェニット、そなたは今日から農作業は禁止じゃ」
「え、そんなザラ様、今は種付け期で手が足りなくて」
「女の細腕一つで、全体の作業効率は変わりはせん。女領主はもっと大局をみるべきじゃ。ついて参れ」
ジェニットが今から共に出かけようとしていたムキムキ眼鏡のヨハンをふり返る。ヨハンは筋肉隆々のわりに丁寧にお辞儀をして見送っていた。
「ヨハン、私、作業を」
「ザラ様の仰る通りです。お嬢様にしかできないことがあります」