離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
ジェニットはヨハンの言葉をもらって、唇を噛んだ。身を粉にして領民と共に働いてきたジェニットは、領主として考えを改めるときがきたのだ。
「そうね……私は領主だものね!」
農作業を抜ける罪悪感はすぐに捨てた。即断即決、即行動。これが女領主ジェニットの強みだ。
「ヨハン、私、みんなを守れるように頑張るわ」
「領民全員が期待しております」
「うん、待ってて!」
ヨハンの激励を受けて、ジェニットはブロンドのポニーテールを軽やかに揺らした。今からジェニットは農業に手を焼く貧乏領主ではなく、領を治める司令官として仕事をする覚悟を決めた。
ジェニットは表情をキリッと切り替えて、ザラの私室に足を踏み入れる。
「よく来たな、ジェニット。座れ」