離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─

グリーンの瞳が零れ落ちそうなほどに目を見開いたジェニットに、ザラはクスクス笑った。

ただでさえ人を雇う金がなくて、収穫量を落としているというのに、それを8倍にするとは大胆過ぎてジェニットの試算が追いつかない。だが、感覚でわかる。


「そんなに人を雇う資金がありません!」

「そう、ここにそんな金はない。だが、忘れたか?」


テーブルの上で緊張に固まったジェニットの握りこぶしを、ザラがそっと撫でた。


「ここにはこのザラがおる。そなたが招いた強運の風じゃ」

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