離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
ザラがテーブルの上にそっと一つの指輪を置いた。コロンとテーブルの上に転がった指輪は大きな青い宝石が埋まっている。それ一つで平民100人が一年は暮らせるような値段がするに違いない。
「この指輪をやろう。一宿一飯の恩義と思うといい」
「ひょええ??一宿でもらいすぎですよどう見ても!」
「そなたの素直な反応は好みじゃ」
ふふと微笑するザラは、ジェニットの手の平に指輪をぎゅっと握らせた。
「意外かもしれぬが、我は実は金持ちでな」
「いや、全然、全くもって意外じゃないです」