離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─


「女性のあれが欲しいこれが欲しいを、男が身を粉にした金を出して買う。それが世の常。女性を喜ばせたい想いにこそ、金脈がある」

「金脈……」


ジェニットも領主民たちもゴクリと喉を鳴らした。ザラは椅子に座っている領民たちの間をコツコツ足音を鳴らして歩き始める。


「女性が欲しいものは女性が一番よく知っておる。女性がモノを作らんでどうする?」


間をぬって歩き、一人の領民女性の耳元に語り掛けた。


「こんなに美しくて賢そうな女性が多いハミルトン領なら、良い商品ができるはずじゃ」


ザラに耳元で語り掛けられた女性はぽっと顔を赤くして耳を手で覆った。
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