離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─

ヨハンがハミルトン領への恩義という真実の愛をその胸に宿していることを、ザラは理解した。


ジェニットの領民への愛。

ヨハンのハミルトン領への恩義。


ザラは色んなかたちの真実の愛を目の当たりにして、愛の自由さに嬉しくなってしまった。ザラは一体どんな真実の愛を見つけられるかと考えると楽しくなってしまう。


「ザラ様、痛み止めは処方しますが、モミ茶も飲みましょう。健康に良いですから」

「もらおう。医者の言うことは聞くものじゃな」


大きく頼りがいのあるムキムキのヨハンは、にっこり笑ってモミ茶を淹れ始めた。熱心なモミ葉布教者である。


「なにやら騒がしいの」
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