離縁するのじゃ、夫様!──離縁前提婚の激重陛下が逃がしてくれず、結局ズブズブ愛され王妃に君臨するまで─
ザラは両手を組んで、偉そうにアンドリュー(仮)を見下した。
「して、エドワード・偽名・アンドリューよ?」
「エドじゃないよ?ただのアンドリューだけど?」
「何をしに来た?求婚の試練はやめるのか?」
「試練は絶対やめないけど。
僕、アンドリューだからザラに会ってもいいかなって。息抜き的な?」
「居場所は誰に聞いたのじゃ?」
「黙秘」
ザラ大好きエドワードが、ザラが一人旅に出て行き先不明になると聞いて、尾行、護衛をつけてないわけがなかった。
「今日のザラ」と銘打った定期連絡を発信させて、ハミルトン領で領地改革なんて始めちゃったザラの絵を描かせて王都に送らせたりして、日々爆発しそうな恋心を慰めているなんて全部黙秘だ。
エドワードのわかりやすい黙秘に顔を引きつらせて、ザラが義足に迷わず手をかけた。
片足で立ちながら、素早く義足を外す。
「この愚か者め!リベルタの女の門出に尾行をつけたな!」