没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~
そこまで考えて完全に現実逃避に走っていることに気がついた。
私は苦い表情を浮かべる。
婚約破棄されたからといって自暴自棄になっていいわけじゃない。もっと実のある行動をした方が今後の自分の人生にとって堅実的だ。
――……一縷の望みを掛けて婚活してみる?
そんな考えが頭を過ったがすぐに否定した。
「もう恋愛なんて懲り懲りよ。今回で身を以て痛感したけど、あれは完全に私とは縁のない世界だわ」
それに私は今年で二十歳を迎える。結婚適齢期は二十歳までだからギリギリの状況だし、婚活したところで悪い噂が立っているので近寄ってくる殿方に碌な者はいない。
熱りが冷める頃にはさらに歳を重ねてしまっているだろうから誰も寄りつかなくなり、社交場ではいき遅れとさげすいた陰口を言われるだろう。
それならこのまま独身を貫いた方が自由が利くし何かと楽かもしれない。