没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~
名前の通り占い式のカヌレで、占い結果の紙と一緒にいろんなフレーバーを十五個ほど袋詰めしている。
やり方は至って簡単。
一、袋の中からカヌレを一つ選んで食べる。
二、味から占いの紙を確認してメッセージを受け取る。
たったそれだけだけど、何個か食べてそれぞれのメッセージをくっつけられるように工夫もしているのでその時々によっていろんなパターンを楽しむことができる。
本格的な占いとは違うけれど、これだけでいつもとは違う楽しいお茶の時間を過ごすことができる。
これを思いついたきっかけは、フレーバーの見分けがつかなくて困っているとラナとネル君に相談されたからだった。作った私なら何のカヌレなのか雰囲気で見分けられるけれど、普通の人から見ればどれがどのフレーバーなのかなんて分からない。
そのことをアル様にも相談すると、仕事で赴いた東方の国で面白いお菓子があったことを教えてくれた。
その国では新年になると固いクッキーのようなお菓子に占い紙を入れて焼くという。一族が一同に集まった席で皆がそのクッキーを適当に選び、クッキーを割って中の占い紙からその年の運勢を読み解くらしい。
『カヌレはどれも同じ見た目をしているから東方のお菓子のように占いを楽しむことができれば流行るんじゃないかな?』
その話を聞いてこのアイディアは活用できると私の直感が働いた。