没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~


「花束まで持ってきて。いろいろとあからさますぎません?」
「こうでもしておかないと、身の程知らずの虫がくっついて離れないからな」
「ふうん。それは厄介ですねえ」
「ああその通り。どこが厄介かというと、小さくて可愛い見た目で花を騙そうとするところだな」
「それはどの虫のことを言ってます? 僕の目の前にも害虫がいるんですけど?」
「ははは、どの虫どろうな。自分のことを棚に上げているようだが、君も時間を作ってここに来ている」
「僕はお嬢様に頼まれてお手伝いをしているんです。油を売りに来たあなたと一緒にしないでください!!」

 二人の会話はヒートアップしている。なんだかんだ仲良くなっている二人の会話に耳を傾けながら私は黙々と手を動かした。
 ネル君はまだエードリヒ様のことを警戒しているけれど、このまま打ち解けられたらきっと二人は仲良くなれると思う。
 頭の中で二人が仲良く手を繋いでいるところを想像する私は、最後のピースをお盆にのせるとぱんと手を叩いた。

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