没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~
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私はアル様の目の前に置かれている野菜のお菓子の説明を始める。
「来場した貴族の方たちが休憩スペースでお菓子を手軽に食べられるよう、手のひらサイズかつ、手が汚れないことを意識して作っています。どうぞ召し上がってください」
私が作った野菜のお菓子はミニトマトのタルト、ホウレンソウのシフォンケーキ、そしてキャロットケーキだった。
ミニトマトとホウレンソウのお菓子は私が考案したお菓子だ。
コンポートしたミニトマトをタルトの上に飾りつけ、宝石のように美しく見えるようナパージュしている。
ホウレンソウのシフォンケーキは断面の緑色が鮮やかで、生地の底にはアクセントに刻んだクルミをいれている。しっとりと弾力がある中に歯ごたえのあるクルミを加えることで食感が楽しめるように焼き上げた。
最後のキャロットケーキはカップ型で焼成し、フロスティングにはあっさりとした口当たりになるようクリームチーズ、その上に刻んだピスタチオをのせている。
ミニトマトのタルトとホウレンソウのシフォンケーキは素材本来の味を楽しんでもらえるよう、そして見た目で野菜だと分からないように工夫を凝らしたつもりだ。それでも受け入れてもらえなかった保険用に伝統菓子であるキャロットケーキも作っている。
アル様は手始めにミニトマトのタルトを手に取ると一口囓った。